次世代の離島人材の育成と交流を目的に、RITOLAB NEXT in 奄美大島にて2泊3日のフィールドワーク研修に行ってきました。
離島というと、たくさんの課題や問題の方に着目してしまいがちですが、鹿児島離島文化経済圏(=通称リトラボ)では、離島の可能性にフォーカスし、その挑戦の種と関わりしろを育てていくコミュニティ形成を目指して活動しています。
今回のフィールドワーク先は、奄美大島。先駆的な取り組みをされている事業者の方々に講師としてお招きし、研修を実施しました。また、リトラボのこれからを見つめるワークショップを通して、リトラボの構想や可能性についても互いに意見交換をしながら、リトラボの未来をつくる2泊3日となりました。
RITOLAB NEXT in 奄美大島 DAY1
奄美空港に到着後、一般社団法人 E’more秋名が運営する《荒波のやどり》へと向かいました。
まずは、村上さんのガイドで集落散策へ出発。自然と調和した暮らしぶりが脈々と残っている風景を目の当たりにしました。奄美では集落のことを「シマ」と呼び、集落ごとに方言や文化が少しずつ異なります。また、カミヤマ(神様が棲む山)とシマ(集落)、そして、ネリヤカナヤ(海の果ての神の国)という環境文化があります。山から里、そして海へと抜けてゆく自然の在り方が現在も暮らしのなかに根付いています。
集落で独自に培われてきた文化や食を後世にもつなげていくために、どう地域と関わっていくのか、また、龍郷町内で最も過疎が進む地区としての課題なども挙げられていました。
村上さんは、地域コーディネーターとして、島の外にいる人と内の人をつなげる役目を担われており、企業研修や事業創造型のインターンシップなど、関係人口事業や移定住を促進するプロジェクトにも取り組まれています。これから、地域コーディネーター的役割を持ち、島でのプロジェクトを考えているメンバーとの活発な意見交換が行われました。
次に、名瀬へと向かい、シマッチュのシマッチュによるシマッチュのための島ラジオ「あまみエフエム ディ!」の収録に参加しました。
奄美大島の方言が飛び交うラジオに盛り上がりました。移動中の車内でも楽しませていただきました。収録後は、創設者の麓憲吾さんにもご参加いただき、懇親会を開催しました。
また、中之島チームからは、リトラボを通して生まれたコラボ商品のお披露目もありました。
トカラnanairo(中之島)×発酵MOON(奄美)
奄美大島の伝統発酵飲料「ミキ」をアレンジした乳酸菌飲料《 発酵MOON(奄美) 》を販売している暦 – KOYOMI – さんと、トカラ列島のパッションフルーツのコラボ。また、パッケージのデザインは、2021年のDESIGN TUG でのコラボをした banana worksさん。リトラボを通じたつながりから、続々と新しいプロジェクトが生まれています。
RITOLAB NEXT in 奄美大島 DAY 2
翌朝、一行は瀬戸内町へ。阿木名集落内に空き古民家を活用した創業支援や地域活動の拠点拠点《 HUB a nice d! 》にて、創設者である山本美帆さんから、お話を伺いました。
株式会社しまのみなと 代表取締役 山本美帆さん
鹿児島市出身。夫の転勤を機に奄美大島瀬⼾内町へ移住。転勤族でも、⼦育て中でも、働きたい!を実現するために、2018年に瀬⼾内町阿⽊名集落に創業支援や地域活動の拠点施設《 HUB a nice d! 》をオープン。現在は、鹿児島市と奄美大島の2拠点で活動中。
転勤がきっかけで、年間約5000人がやってくると言われる奄美大島。夫の転勤がきっかけで、奄美大島へ移住した山本美帆さんもそのひとりでした。慣れない島での生活、知人友人がいない環境での子育て、不安や孤独を感じる環境、自分のキャリアが閉ざされてしまった喪失感など、同じような悩みを抱えた人が気軽に集える場所や、チャレンジを応援しあえるコミュニティをつくろうと、住⺠発の地域づくりに取り組む「やまぐんまちづくり委員会」の協力を得て、2018年に《 HUB a nice d! 》を設立。チャレンジショップや、フリーランス(個人事業主)への仕事場提供、⼦育てママの居場所などを提供されています。
山本さん自身も直面したお母さんたちの課題や、キャリアの選択肢を増やし、それぞれが豊かな人生を送るためのプロジェクトについての発表、また、空き家探し、資金調達や物件改修といった施設の立ち上げから運営に至るまでの歩みをご紹介いただきました。
その後、宇検村へと向かいました。
大阪市出身。2015年に宇検村の地域おこし協力隊として、祖父母の生まれ故郷である奄美大島に移住。「今をくつろぎ、明日を生きる喜びを」をコンセプトに2017年11月創業。現在は、同村で自家焙煎の《とよひかり珈琲店》と、1日1組限定《14hikari coffee inn》を経営。
2015年に地域おこし協力隊として、宇検村へ移住した浅尾さん。祖父母の生まれ故郷奄美大島へ移住した原体験、海外青年協力隊に所属していたときのエクアドルでの体験、珈琲の焙煎・カフェ・宿・ギフトショップの運営に至った経緯についてお話いただきました。おいしいコーヒー時間もありがとうございました。
地域の方との触れ合いもあり、集落のあたたかさを感じる時間となりました。
また、island company が宇検村湯湾集落で改修中の古民家「うかれゆわん」の視察へ。どんな建物になるのか完成が楽しみですね。
その後、一行は国直集落へ。一般社団法人TAMASU 代表理事の中村修さんを講師として、国直集落まるごと体験事業について講演いただきました。
奄美大島大和村国直集落出身。役場職員として働きながら、自然と共生してきた島の文化を未来の島人たちへ伝承し、地域にある宝を活かした事業に取り組もうと決意。集落の青壮年団に協力を呼びかけ、20年勤めた役場を退職し、地域住民の幸せやコミュニティを守りながら事業を運営する 一般社団法人TAMASU を立ち上げ、現在、集落民一体となったシマ(集落)づくりに取り組んでいる。
法人名の《TAMASU》は、「たます分け」という奄美大島の方言から。漁や猟で得た獲物をみんなに平等に分けるという精神のことをいいます。神様からいただいた奄美の恵みを、共に守り、分かち合う心を育てるという団体です。島の人々の日常に外から来た観光客を招きいれる《国直集落まるごと体験ツアー》を実施しています。
「暮らしと観光」というキーワードのもと、島での暮らしや大切にしたい日常風景を存続させるひとつのツールとして観光をどうハンドリングするか、また、ローカルルールを制定する過程や観光客も住民もお互いが心地よく過ごせる集落のあり方についてディスカッションしました。地域の方の声を丁寧に吸い上げ、集落の暮らしと観光産業を担う中村さんの姿勢に、それぞれの島で奮闘するメンバーも背中を押される時間となりました。
その後、リトラボの目指す未来、リトラボがそれぞれにとってどんな場所であるのかを語り合う時間を取りました。
それぞれにとってのリトラボを共有する場面では、「海はつながっている」「挑戦する人たちが繋がりあえる・応援しあえる・立ち止まれるコミュニティ」「楽しく笑って暮らせる島の未来に向かって挑戦する仲間たちが協力しあえる」「ボーダレスなコミュニティ」「競争から共創へ」「新しい自治のカタチ」「港」というキーワードが出てきました。
RITOLAB NEXT in 奄美大島 DAY3
最終日には、民宿さんごビーチにて、リトラボのこれからの構想図をつくる時間を取りました。また、メンバーそれぞれがリトラボにとってどういう存在となっていきたいのか、各々発表しました。
新しい挑戦が生まれる海域へ、その物語ははじまったばかりです。
RITOLAB|鹿児島離島文化経済圏
令和元年、新しい時代の始まりと共に鹿児島離島の人々と地域をつないで、新たな価値を創造するコミュニティ「鹿児島離島文化経済圏」通称=リトラボが船出しました。あらゆる垣根を越えたパートナーシップを育て、鹿児島離島に新たな価値を生むプロジェクトに挑戦しています。
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公式 Instagram https://www.instagram.com/ritolab.kagoshima/
令和5年度 離島地域おこし広域コミュニティ形成事業